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わたしは自分がなにを感じ―なにを考え-ているかを書いてみたいと思う(キケロ)
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オズワルドの手記

細い道は非常に長く、体力気力を失いそうになりながらも、注意深く歩いた。
両側から覗く深遠に飲み込まれでもしたら、堪ったものではない。
前方には巨大な山の頂がおぼろげに見えている。
そのゴツゴツした岩肌と数ある割れ目は、この先頂上への行程が、かなり厳しいものになることを予感された。

登山というよりも、山道を歩いているだけなのだが、それでも山の薄い空気と時折襲ってくるコウモリや、脳味噌みたいな物体に触手のついた化け物に襲われるのだからたまったものではない。

何度か休憩を挟みながら渓谷を歩いていくと、僅かな冷気を放つ青色の壁をした洞窟への道があった。
この渓谷の半分も歩いていないが、書き加えた地図が正しければ、西方向から方向転換して何時の間にか東方向へ歩いている。
今更渓谷を埋めるために戻るのも面倒だと陛下が仰有るため、洞窟へと足を踏み込んだ。
中に入ってみると、先ほど感じていた僅かな冷気は全くと言っていいほど無い。

よく見てみると、洞窟の入り口には「魔法使いの洞窟―立ち入り禁止」とあった。
一応入ってみたはよいが、途中鉄格子があって侵入出来なかった。
だが、洞窟のところどころに木製の支柱があるということは、確実に人の手が加えられた場所であることは間違いない事が分かったのは収穫であろう。
一度地上に出て、東側から入り込んでみる。

また洞窟があり、そこの入り口の看板には次のような文字が書かれていた。
「採掘場入場の場合、常時保護ヘルメット着用のこと」
ここはどうやら監獄ではなく、採掘場のようだ。
専用のヘルメットは被っていないが、皮製の兜は被っている。
無論陛下も。
城でクィークェグから購入したものがまさかこんな所で役に立つとは…。

洞窟に侵入したはよいが…
その構造の複雑さに、さすがの私も混乱した。
洞窟の中は一応照明はあるが、ところどころに光が差さない暗闇も存在する。
そして、その光の差さない場所の中にスイッチがある。
と、この様な手の込んだ細工がされているのだ。
休憩時に陛下と地図を確認し、
恐らくこれでこの階層は、全て探索し終えたことを確認した。
北東部にある鉄格子二つが気になるが、それは後回しだ。
自ら歩き書き記した地図を広げると、13ある下り階段があるのを確認した。
いったい何処から潜ろうか。
一瞬考えたが、どうせ全て下らなくてはいけないだろう…。
そう思い、一番北から潜ることにした。

細い通路に一枚の木のドア、そしてその先には小さな部屋。
そこには青い植物が生えていた。
それはゴムのようにしなる体で、
ここに来る前に襲いかかってきたヒドラ・プラント(人食い植物)に酷似している。
わざわざ危険を冒して、この避けることが出来る戦闘をする必要は無い。
そう考えた我々は階段を登り、地下二階を後にした。

次に、近くにある西の方向にある階段を下ることにした。
数歩いたところにまた下り階段を見つけた。
まだこの下に踏み込むのはやめておこう。
…分からなくなるから。
下り階段の分岐点を左に曲がり、周囲の探索を始めた。
歩いた先には、下り階段が更に一つ、登り階段が一つ。
階段を登ると、下りのときに使った階段と非常に位置が似ている。
この様子だと、13全ての下り階段は全てが全て独立した場所に繋がっているわけではないようだ。

頭がこんがらがりそうになる。

この複雑な迷路のような採掘場の隅―それもうっかり先程の青い植物が生えている小部屋に足を踏み入れてしまった。

こうなればやるしかない。
物陰にさっそく隠れられた陛下が呪文の詠唱を始めている。

この植物、本当にゴムで出来ているかのように弾力があり、なかなかダメージが通らない。
そこで私は、口を狙って貫くことにしてみた。
相手が口を開けた直後に長剣を差込み、大きく振り上げた。
どうやら刺す攻撃には弱いようだ。

一瞬怯んだ所に陛下の「ディープフリーズ(最強冷気魔法)」が決まった。
流石陛下。

植物の一部を引き裂くと、ゴム糸のようなものになって動かなくなってしまった。
伸縮性があるヒモ……これは使い道がある。
今まで拾った投げ剣―ダークというのだが、これがしょっちゅう散らばってしまうのだ。
これを結わえるのに使おう。


左の扉を開けると小部屋と小部屋をつなぐような部屋に出た。
通路の横にスイッチがある以外は、何も変わったことは無い。
スイッチを押してみると、壁が崩れ金属箱が置いてあったが、役に立ちそうなものがないので全て置いて行くことにした。

更に先に進むと通路に分岐点があり、左側には看板が立っていた。
「スミッティにようこそ! 鍛冶屋と食堂 修理と食事!」
と書かれている。

食堂!
久々にまともな物が口に入る―
私だけでなく、陛下もお喜びになっていた。
喜び勇み、その食堂へと足を踏み入れた。

中に入ると、年をとったドワーフが金床の向こう側から
こちらを見上げている。
真っ赤に焼けたトウモロコシに、
何やら仕事をしながらこういった。

「コンチキショウ! おらぁ忙しいだ、わかんねぇか?」

鍛冶屋は概してこのような頑固者や、やたらと気難しい者が多い。
だが、悪意は感じられない。

「申し訳ない、鍛冶屋殿。我々は今、食料がつきかかっているのだ。少し食料を売ってはくれまいか?」

するとドワーフの男は、表情と態度を変えて我々を歓迎した。

「おお、お客か。いいぞ、どれにする?」

次々と食材と武器を並べ始めた。
焼いたトウモロコシに、焼いた肉……
採掘場の中なのに随分と豪勢なものだ。

その肉が何の肉かはあまり気にしない事にした。
カブと水以外なら何でも歓迎出来る。

「ところで、何故こんなに武器を?」

「書いてあるだろ、スミッティの鍛冶屋と食堂って。
ドアの外に出てるだ!
それと、このおらの金床を使って色々修理するだ。
勿論、直すもんがありゃな」

500Gで焼きトウモロコシと焼き肉、そして幾分らかの蒸留酒を分けてもらい、それを食べながらも私はふと気になってスミッティに話しかけた。

「ところで、この採掘場で何を掘っておられる? 
鉄か、それとも金か銀か?」

「おら、掘れるだけ掘っちまった。もっと掘るのは無理だぁ!」

「そうか…」

ドワーフといえば、装飾物や金銀には目が無い。
そこで、不要になった解読指輪を持たせた。
すると、スミッティは大喜びし、次にもし修理したいものがあれば無料で直すという事を約束してくれた。


食事をし、さらに寝床を借り(ドワーフに恩を売るとここまでしてくれるものだらしい)て鋭気を養って再び我々は探索を開始した。

最南にある階段を下りると、その先はダークゾーンだった。
壁に手や剣を当てていくと、正面は行き止まりで左右に分岐されていることがわかった。
右へ向かってみると暗闇は晴れて水場とランプの付いた部屋に出た。
おそらく、ここは休憩所だったのかもしれない。
飲み水はまだ利用出来る。
口に含んだだけでも気力が復活するのは、恐らく採掘する者たちのために何者かが魔法で気力体力を回復出来るようにしたのだろう。

しばらく水を飲んだところで探索再開―

階段のところで分岐されていた暗闇の先を歩いた。
暗闇の最も奥は、デッパリのついた壁だった。
いや、壁ではない。何か違う素材でつくられたものだ。
そう考えた私はそれをつかんで捻った。
暗闇の中でドアがあると、全くそれはわからない。
一歩遅かったら、引き返していたのかもしれない。
そう思いながら、俺はドアを開けた。
すると、突然先ほどの青い植物が襲い掛かってきた。

ここを含めると、三箇所はこの青い植物を見ている。
が、既に我々は常套手段で絶対にこいつを倒す方法を知っているため、特に驚異ではない。
驚異になるのは、この採掘場を我が者顔で歩く蟻たちの方だ。
毒持ちの上に、数が多くて厄介だ。

さっさと倒して、またゴム糸を採取。
ふと、集めたゴム糸をまとめてみようかと、何気なしに持っていたゴムとゴムを組み合わせた。
これが後々思わぬ助けになるとは思わなかった。

このようにして探索を続けていくうちに、やっと長い通路がある部屋や、下へ降りるための階段を見つけた。
下るのはまだ早いので、この地下二階を探索してからだ。
我々はここで五つの下り階段を見つけた。
恐らくこれで探索はし終えた。
そう重い、一番近い左下の下り階段を使ってみた。
すると、またトンネルのような通路があり、上に登る階段を見つけ登ってみた。



陛下のお顔が疲労というより、苛立ちと採掘場を作った者たちへの怒りで青くなる。(陛下は激昂なさると真っ赤になるというより、血の気が引いて真っ青になられるタイプなのだ)

一体ここはどれだけ入り組んで入れば気が済むんだ。


陛下ならずとも、誰でもそう思うだろう。

そう思いながら通路を歩いていると、そこには大きな出っ張りが壁に張り付いていた。
何か出口かと思い押してみたら、ただ金属の箱が出てきただけである。
箱を開けてみると、そこにはハンマーと"のみ"を見つけた。

「いっそのこと、つるはしとのみで通路を1つにしてくれる!」

陛下…(涙)

自棄を起こされた陛下が勝手に階段を降りられるので、私も慌てて後を追った。
どんどん下ると、最下層に辿りついた様だ。
そこで陛下は足を止められていた。

否、足を止めていたのではなく、目の前にあるものを見つめておられたのだ。
そこには見えない壁が立ちはだかっていたのだ。

部屋への入り口は、この巨大なダイヤモンドの透き通った壁によって遮られていた。
そしてその内側に、今までに見たことも無いような奇怪な表情が浮かび上がっていた。
ダイヤモンドの内側で蠢く、その頭の様子から、どうもそれが単なる幻影ではなく、実際に何らかの魂が巨大な宝石の中にとらわれていることがわかった。
壁際に近づいてくるたびに、何かを語りかけようとしてくる。

調べてみると、そのダイヤモンドの壁面は四つの方向にあり、
やはりとは思ったが、通常の武器では傷一つ付かなかった。
ただ、先ほどの"のみ"を使うことによってのみ、その壁面に裂け目が出来た。
しかし、それは砕け散りはしなかった。

「やはり四方から砕かなくてはならないようだな」

そう仰有ると陛下はがくりとした。

「四方ということは…また階段の上り下りか…」

私までグッタリしてきた。
早くこの山を降りたくなってきた…







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