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わたしは自分がなにを感じ―なにを考え-ているかを書いてみたいと思う(キケロ)
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皇帝フリードルムの手記

例の祭壇から落下した後、巨大な蛇に襲われた後、危険地帯で巨大ミミズに襲われる等本当にロクな目に遭わない。

とりあえず、死者の日誌(と勝手に読んでいる)の内容をクィークェグに伝えて暗号を聞き出した後、その日誌を押し付けた。
無用な長物をいつまでもずるずる持っていくのは面倒だ。

それと、例のスヌープチェリをル・モンテスに返してやった。

「ああ、スヌープチェリ! やっと会えたのう!」

そういうとル・モンテスはしばらくの間、ずっとその犬のぬいぐるみを猛烈な勢いで頬ずりし、ずっとハグしていた。


言うまでもないが、余もオズワルドもドン引きしていた。

そんな事はおかまいなしに、すっかりル・モンテスは上機嫌で我等に「船長の檻の鍵だ」と銀の鍵を渡してくれた。

どうやら、あの船長のねぐらにいるらしい。
後、ル・モンテスは彼等が川―それも霧の立ちこめる薄暗い川からやってきたと教えてくれた。
日記内であった、あの“霧”と何か関係あるのかも知れない。

ともかく、やっと我々は、今まで入れなかった“ねぐら”に入る事となった。


ドアに小さな隙間が開いた。
そしてその後ろから、不気味な声が響いた。
「兄弟ぇ、合言葉ぁを言ってくんなぁ」
余が「スケルトンクルー」と答えると、
その不気味な声は
「あたりだぁ」と返し鍵を開けた。

「はいんなぁ」

どうやら我々を入れてくれるようだ。

そこは小汚い部屋だった。
煙がもうもうと辺りに立ち込め、
いくつものテーブルの周りにはエールのビンや泡立つビールを持った
無法者の群れを成していた。
盗賊、追いはぎ、山賊、海賊、人殺し―
一つ屋根の下にこれだけの凶悪な者共が集まったことは、今だかつてなかったであろう。
部屋に入っていくと、全ての動きが止まった。
視線がこちらに集中し、死のような静けさが辺りを包む。
それぞれのテーブルをさっと眺めただけで、
金貨の山、トランプ、サイコロのところにかけてあるチップなど、
様々なものが目に入った。
そしてそういったものの一つ一つ、
汚らわしい顔の全てがこちらをじっと見つめていた。

絶体絶命と思ったまさにその時、
周りの何かがピンチを脱する手がかりになったという経験が無いわけではない。
今がまさにそのときである。
辺りに視線をめぐらす。
いくつもの顔、厚い煙の壁…
と、その遥か彼方、鉄格子の向こう側になにやら奇妙なものが居るのが目に入った。
しかめっ面にひねくれた笑みを浮かべ、赤い燕尾服、白いひだ付きのシャツ、青い半ズボン、黒い帽子、60センチもある長い巻き毛の黒髪といういでたちの人影が、その合資の向こう側にとらわれていたのである。
男は片目を黒い眼帯で覆い、肩には緑色のオウムのぬいぐるみを置き、顔には奇妙な表情を浮かべている。
しかし、何よりも一番目を惹いたのは男の右腕だった。
その本来なら右手があるところには、磨きこまれた金属製の鍵爪がついていたのである。


突然、目の前に異様な臭いをさせ、脂ぎったカエル面の太った男が立ちはだかり、空想の時間を大きなげっぷの音で遮った。
何と下品な男だ…。

「おいらぁマティー船長だぁ! ちっと待ったぁ、うすのろぉ!
新入りはぁ勝負に勝たねぇ限りぃ仲間には入れねぇんだぁ!
勝負の方法はぁ二つだぁ。御馴染みの戦いかぁ、もうちっと文化的な奴、そうよ、飲み比べ!
戦うかぁ、それとも飲み比べかぁ?」

…飲み比べのどこが文化的なのか小一時間問いつめてやりたい所だ。
その気になれば、オズワルド一人でもこの海賊の群を屠る事は出来るのだが、無駄な労力は使いたくない。
それに、ここ数日水とカブだけの日々だ。
余もオズワルドも、久々に飲める酒につい心が動かされてしまったようだ。

「…飲み比べを受けよう」

「おう、おいらの好きなぁ勝負でぇ。ハーハーハー!
いっちょ飲むかぁ」

しかし

「いっぱい50Gだ!買うかぁ?」



何!?
こちらが金を払うのか!?


…しかたない。

「はじめぇ!」


この勝負は一対一なので、オズワルドに任せる事にした。
なんといっても、余のスタミナは低いのだ。
オズワルドに比べると。

二人同時に杯をとると、凄まじい勢いで進んでいく。
みているこちらが「おぇっ」となりそうだ。

だが、マティーという男、どこまで底抜けなのだ。

十杯近くでも「フーッ、まだ飲んだ気がしねえ」と部下にガンガン注がせている。

「おめぇ、ちっと青くなってねぇかぁ?兄弟」

オズワルドにそう言ってきたのだが…。


あの黒仮面からどうやって表情を知ったのだ


しかし、オズワルドも少し危なそうだ。
いや、大丈夫だとは余は思っているのだが…マティーのザルっぷりを見ていると不安になるのも仕方ない。
どうせなら、ミカエルに当たらせればよかったか?とさえ思わされる。

そして15杯め辺り・・

「フーッ。たまんねぇなぁ…ウィーッ、ちっときいてきたぁ」



船長は酔い潰れた!

勝負に勝った!

その途端、どこかのテーブルで歓喜の声とこちらを呪詛する声が一斉にあがっていた。

無法者達は、飲み比べの間、それを楽しんで観戦するものや賭けをしていたらしい。
中には興味がなさそうに横目で見る程度のものや、完全に無視して他の賭け事をしているものたちもいる。

…おまえ等、船長の応援をするだろう、普通…。

だから無法者共は好かないのだ。
真義も何もないのだからな。

らんちき騒ぎを後目に、我々は奥へ進んだ。
無論、あの前船長をみるためだ。


ル・モンテスから受け取った銀の鍵を使って鉄格子を開ける。
鉄格子の中の鍵爪を持った海賊の死骸は
近くから見ると更に一層気味悪く感じられた。

鉄格子に鍵が掛けられているのには、それなりの理由があった。
というのは、その死骸に触れた途端、
灰と骨の山になってしまったからである。

後には、燕尾服、帽子、オウムのぬいぐるみ、眼帯、そして光り輝くかぎ爪しか残っていなかった。
燕尾服と帽子はあまりにも埃や腐敗がひどい様なので捨てる事にする。
眼帯も邪魔だ。
結局、余が手に入れたのはオウムのぬいぐるみとかぎ爪だけだった。
それにしても…
海賊の船長が、このようなぬいぐるみなど持っているのだろうか。
何かこれに執着している理由でもあったのだろうか。
ル・モンテスのスヌープチェリといい、
このオウムといい…何なんだ、この国の人間どもは。

と、緑のオウムを掴んで調べてみると、背中に小さな宝石がはめ込まれているのを確認した。
何故このようなものがあるのだろう? 
これも特別な力を持つ代物なのだろうか。
そう思い、試しに力を解放するために念じてみると、
余自身に何かの力が漲り、
オウムのぬいぐるみは粉々に砕けてしまった。

手元に残ったものはフックのみ。
これを見て思ったことは、先ほどの渓谷で見たフックが付いたロープだ。

何かロープを探せば、きっとあの渓谷をわたれるかもしれない。


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