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わたしは自分がなにを感じ―なにを考え-ているかを書いてみたいと思う(キケロ)
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反逆の魔女ソーンが立て籠もる迷宮―
そこは摩訶不思議で中には「悪ノリ」としか思えない施設も数多くあった。
地下二階の拷問部屋(ハークルビースト見学室)からワインセラーまで整っている。

だが、この迷宮の驚異の1つとして、泉がある―
どの階層にも存在する泉は、様々な効用がある。
温泉のような、ありがたいものは滅多になく、潜水した者を毒に冒したり、神経を麻痺させたり、場合によっては命を落とすような危険なものまである。
だが、こうした泉の中にはソーン討伐―ひいては災禍を鎮める鍵が落ちている事もある。
つまり、冒険者たち(真面目に災禍を鎮めようとする者に限って、だが)は泉に何度も潜る必要があるのだ。


地下三階に、“帝国パーティー”はいた。
泉の回りに陣取り、泉を見守っている。
しばらくして、気泡が立て続けに水面上に弾ける。
それと同時に、ビスルクアスの上半身が現れる。

「何とか水深Cまで潜れました」

「うむ。ご苦労だった。火に当たれ」

マルガレーテの魔法で起こした火にビスルクアスは当たる。

“帝国パーティー“は悲しい事に、水泳レベルが恐ろしく低かった。
元々山と森に囲まれた寒冷な地の出身者である。騎士の鍛錬に「水泳」はあることはあるが、他国の騎士に比べ、ラーナ人はあまり水に入らない。
そのツケが、この探索で思わぬ障害となった。


数日前―
うっかり作動したシュートで、落ちた先の泉に全員落ちた。
水泳レベルが低い彼等は全員見事に溺死してしまったのである。

そこへたまたまザクセンパーティーが通りかかったのである!
フェルディナントによって“帝国パーティー“はカント寺院に運び込まれ、復活を遂げたが―

最強の騎士剣オーディンソード3本(前衛全員の武器)と全員の有り金全てを押収されてしまっていたのだ。
(どうやら意識が戻る前にフェルディナントにトンズラしたようである。
恐らく、復活の代金も彼ではなくラーナパーティーの有り金を使ったのだろう)
悔しい事に、他国のパーティーはほとんど水泳で苦労した事が無いという。
プライドの高い―よりによってフェルディナントに救われるという屈辱を味わった六人は誓った。

―絶対泉を先に制覇してやる!


そこで水泳の特訓が始まった。
元々この迷宮の最奥の最奥―通称地獄と呼ばれる777階を巡れる程の実力を持った彼等ならば容易な事と思われた。
だが、水泳レベルは思うように上がらない。

一番泳ぎが得意なビスルクアスも、まだ水深Cまでしか潜れない。
それ以上潜ると死んでしまう恐れがあるのだ。

そんな時だった。

「あ!」

「ッ!」

その玄室に、グランクールパーティーが入ってきたのだ。
恐らく、狙いは同じ泉の底の探索だろう。

だが、幸いグランクールパーティーは“善”の戒律だ。
今だけは無益な戦いを避けたい両方の利害の一致がかみ合ったため、にらみ合いだけで終わった。

「よーし、後はここだけだね」

そんな緊迫感を撃ち破る、やけにぽやぽやした声がクローヴィスの後ろからする。

「そうね。今度は陛下の番よ」

もう1つ可愛らしい声がその隣りからする。

クローヴィスの後ろにいたのは、君主(ロード)のカール9世である。
小柄な身体にプレートメイルを着けているのが妙にミスマッチで―可愛らしかった。

「じゃあいってきますッ」

「お気をつけて」

帝国パーティーはぎょっとした。
潜る者は、死亡する事や溺れる事を考えて装備や所持品は全てメンバーに預けるのが常識である。

だが、少年王は鎧を着けたまま躊躇する事なく泉に飛び込んだ。
さすがの帝国パーティーもあまりの暴挙に、言葉もなく見守っていた。

1分…2分…3分…

重い空気と沈黙に部屋は沈んでいた。

あどけない少年王は溺死してしまったのか―
帝国パーティーがそう思った時、突然水しぶきと共に小柄な人影が派手に飛び出してきた。

「みんなー。“氷の鍵”は見つからなかったけど、5000G見つけたよ」

「おお、さすが陛下」

「どういう事だ!」

フリードルムは思わずカールにつかみかかる。

「え?」

「そんなにお前は水泳が得意なのか?」

「ううん」

「では何をした?」

「何って…これ」

カールの両手には、可愛いアヒルの玩具が握られていた。

「…なんだ、それは」

「なんだって、これ“ゴムのアヒル”だよ」

両手で圧迫すると「ぷぴー」という、なんとも間の抜けた音が鳴る。

「…まさか、これで溺れなかったと申すのでは無いだろうな?」

「ううーん。本当だよっ。スパークのアヒルさんから貰ったの」

ぽやぽやとした声だが、嘘ではなさそうだ。


直ぐさま帝国パーティーは玄室を出た。
ゴムのアヒルを手に入れるために。

「あ…」

「どうしましたの?」

カールが何か言いかけたのを、スザンナは見逃してない。

「ううん。さっきね、スパークのアヒルさんを、ザクセンパーティーのフェルディナントが倒しちゃって有り金巻き上げてたから、今行ってもしょうがないよって言おうと思ったのに」

「良いですよ、陛下。わざわざ商売仇を救う事は無いのだからな」

ウェインがそう言うと、グランクールパーティーも玄室を後にした。


***

「災禍の中心」(HoM)もなかなかふざけたゲームで面白そうです。
ゴムのアヒルちゃんで溺れないって…(笑)
ついでに、NPCを倒せる上に何度でも復活させられるので、これで経験値稼ぎした、とプレイ経験のある友人が言ってました。
何て極悪プレイ!!
ウィザードリィの冒険者たちに真の「善人」はいないと思い知らされました(ぇ)
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