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わたしは自分がなにを感じ―なにを考え-ているかを書いてみたいと思う(キケロ)
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―皇帝フリードルム2世の手記―


それは偶然の事だった。
オズワルドと二人で鷹狩りをして、珍しく森の奥まで偶々入った時だった。
今までに見慣れない道があったのを訝しく思い、突き進むと突如古城が現れた。

高くそびえる無数の尖塔―
神秘的でありながら禍々しさを覚える彫刻―
それは、幼い頃乳母から聞かされた「アラム城」そのものだった―

それは今より100と20年前の事―
さる邪悪な王が、これまた邪悪な魔法使いと手を組み、魔神から聞いた「書いた物を全て現実に起こす」魔法のペン、「コズミックフォージ」を手に入れたという―
しかし、そのペンを巡って王と魔法使いは対立し、戦ったという―
それが知られている事の全てだった。

目の前の古城がとっくに無人になっているのは火を見るより明らかだ。


どうする。
下らない昔話であっても、万が一その魔筆があるならば―
それを使えば―
リグリアの西部はおろか、忌々しい蛮族ども、そして法王ですら余の足下にひれ伏す―

だが、周囲の者は信じてくれるだろうか。
特にラスロー。
鼻先で笑っておまけにデコピンまで喰らいそうな現実味のない話だ。
余以上のリアリストであるあやつが、探索隊を出す事にはしぶるであろう。

とりあえず、オズワルドに一旦入ってみるか、という提案をしてみた。

「仰せのままに…」

だが、どこかオズワルドは躊躇いの色を隠し切れていない。
無理もない。
何か―邪悪な何かがあるような気がするのだ。

「なに、もしあまりにも危険なら、この城門を潜り抜けて外へ逃げればよいのだ」



馬を近くの樹につなぎ、最低限の持ち物を持って我等は城門をくぐった。
(最初から門は開きっぱなしだったのだ)



だが…


「陛下!」

オズワルドの緊迫した声と同時に、城門が重々しい音を立ててガチャリと閉まったのだ。
先程まで永遠に動かないかの様に静止していたはずの鉄格子の門―
外界と魔界を繋ぐ門は閉ざされたのだ。

…どうやら、「危なくなったら逃げる」わけにはいかなくなったようだ。

二人で必死に門を開こうと試行錯誤したものの、門はビクリとも動かない。
仕方なしに城の玄関ホールへと進んだ。
変わったものは特に無く、厚い埃が床一面を覆っていた。
廊下の遥か彼方から、何かが動き回る微かな物音が聞こえてくる。
ここでは自分達こそが侵入者なのだ、ということを思い出した。


不気味な静寂に居たたまれなくなり「ひとまず進むぞ」と余が言い出すまで、オズワルドは動かなかった。
何かの気配をオズワルドは探っていたらしい。


この城から何としてでも生きて出る―

まずはその事だけを念頭に、我等は玄関の先へと進んだ―
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