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わたしは自分がなにを感じ―なにを考え-ているかを書いてみたいと思う(キケロ)
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空き袋(現在兄さんが引きずっている砂袋)の近くに、髑髏の紋章の入った鍵があった。
地下の方に繋がる扉には、ちょうど髑髏の紋章があったのでこの入り口の鍵である事は言うまでもない。

ピラミッドは、王墓と言われている。
地下には恐らく、古代の王たちの亡骸があるかも知れない。

この城一帯のことだ、恐らくゾンビ化した王たちが襲ってくるだろう。
ぞっとしないな…。
もっとも、アマズール族の女戦士と戦うよりはまだ後味の悪さは無いだろうが。

扉を開けると、長い回廊になっていた。

「きっと宝があるんだろうな」

兄さんはこういう事に限っては、急にやる気を出す。

「…しかし、王の亡骸があり、かつ宝があるとすれば、罠もあるはず…気を付けられよ、兄う…」

姉さんが言葉を言い終わらない内に、私たちは足を踏み外してさらに下の階層に落とされた。

「いててて…なんだッ!?」

そう言えば、最後尾を歩いていた私が通り過ぎた時、何か「カチッ」という音がしたな…

「「そういう事はさっさと言え!!」」

兄さんも姉さんも…
同時に怒らなくたって…
まさか、私がスイッチを押してしまうとは思わなかったんだが…。

何とか這い上がって、今度は引っかからないようにした。

ここにはスイッチは二種類あり、床に仕掛けられているものと、壁に埋め込まれているものとがある。
どういう仕掛けなのか、床に仕掛けられているスイッチは、最後尾の人間が体重移動を終えるなり(歩数を計算した上で)スイッチの先にある落とし穴の蓋が開くようになっている。

墓荒し対策なのだろう。

しかし、面白い事に壁に埋め込まれたスイッチを押すと蓋がしまったりするのだ。

「よーし、落とし穴を全部回避しながらいくぞ。フランソワ、壁のスイッチを準じ押していけよ」


そう言われたから、私は近くのスイッチを押した。




ごごごご…


不穏な音が後ろから聞こえる。



「逃げろ!!」


叫んだのは、兄さんなのか姉さんなのかそれとも私なのか…
全員全速力で駆けた。
後ろから、通路一杯の大きさはあろうかという巨岩が転がってきたのだ!


ギリギリで回避したが…

「この野郎!!慎重に押さんかい!!」

罵倒と共に兄さんの拳骨が私に浴びせられた。

「スイッチを押せと言ったのは誰だ!」

「兄さんが押せと言っただろう!」

「だからって、全部押すのか貴様は!」

「じゃあ、また落とし穴にはまりたいのか!」

「ええい!!不毛な言い争いはやめろッ!!」


姉さんの一声で、私も兄さんも黙った。
確かに不毛ではあった…。


そして、最奥まで行くと一つの小部屋があった。


「これだけか?」

兄さんの落胆した声があった。
王墓というには、あまりにもお粗末な玄室だった。

「まさか…しかし…」

その時だった。


「うああッ!」

姉さんがいきなり闇に飲み込まれた。
先程の落とし穴よりもさらに深い。

「テレジア!」

「姉さん!」

私は躊躇する事なく、落とし穴に飛び込んだ。
姉さんを助けなくては!という思いでいっぱいだったので、何も考えていなかった。

足をくじきかけたものの、すぐ側に姉さんがいたので安心した。
姉さんは特に怪我はしていなかったが、今にも「面目ない…」と言いそうな表情だった。

「…?ここはさっきの場所とは違うな」

単なる落とし穴ではない。
まさか…


「兄さん、レビテイト(浮遊)を使って降りてきてくれ!宝が先にあるぞ!」

宝と聞くなり、兄さんはすでに軽やかに滑り降りていた。

「ただの落とし穴じゃなかったのか」

先程の地下の圧迫されたような空気ではなく、あきらかに異世界―何か一種の神聖さを感じさせる場所に私たちはいた。

落とし穴の先に行くと、広間に出た。
広間の先には―柩の間らしき部屋が見えた。

「あれか!」

駆け出しかけた兄さんは、やはり筆頭騎士だけの事はあった。
一瞬にして、身を反らし、直ぐさま引き返さなければ矢の雨に全身を射抜かれる所だった。


「くそ!やはり……」

巧妙な罠が仕掛けられていたものだ…。
墓に入った瞬間、矢の雨と毒ガスが噴きだしたのだ。
幸い、私たちがいる所まで毒ガスは及ばなかったが―

「罠の作動させるスイッチがあるなら、罠の作動を止めるスイッチがあるはず…」

今度の壁に埋め込まれたスイッチはまさしく止めるスイッチだった。

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