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わたしは自分がなにを感じ―なにを考え-ているかを書いてみたいと思う(キケロ)
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王の墓に着いた。

アラムの君主 没年…

没年が書かれていたそこは、爪か何か細いもので滅茶苦茶に引っかかれているのが妙に不気味だった。
まだ、王は生きているのだろう。


部屋は使われておらず、まるで来るはずの者が
まだやって来ていないかのようにまっさらだった。

わずかに冷たい風が吹き抜けるのが感じられた。

「風…?」

来るとすれば、あの「死者の川」からだろうが…地下にまで達するだろうか?
我々以外の誰かがやってきたのだろう。
後続の、探索隊かとも思うが、それらしき足音は今まで聞こえていない。



その風がやむと、そこに何ものかがいるような気配がした。

「だれかお捜しかね?」

自信に満ち、力強い声が背後からひびいた。

「陛下?何かおっしゃられましたか?」

「余ではない…」


二人してあわてて振り返ってみると…


















そこには、だれもいなかった…

と、何かが”しなる”音がひびき、
今度は顔に冷たい風が吹きかかってきた。

そして、ついにそれが目に入った!

巨大な黒いコウモリが、まるで攻撃するかのように顔の前をよぎった。

「戦うつもりかね?」

「その意志は無い」

そう私と陛下が答えると、まるでこちらをためしているかのように、コウモリはもう一度飛びかかってきた。

咄嗟に武器を構えようとした陛下と私は、思わずその動きを止めてしまった。

次に起きたのは信じられないような、
まったく異常な光景で、
その素早さはあやうく見落としてしまいそうなほどであった。

突然、コウモリが消え失せ、その同じ場所に、背の高い、黒い人影が現れたのである…


「失礼して自己紹介をさせてもらおう。
私はこの城のあるじだ。

君たちは私の許可なく、無断でここに入ったようだが…
当然それなりの理由があるのだろう?
ここにやって来た…何故ここにいるのかな?」

「コズミック・フォージを求めて、来たのだ」
そう陛下が答えると、王は狂ったように哄笑した。
愚問だ、と言わんばかりに。

「再び問おう。何故ここにいるのかな?」

「…レベッカという娘だ。ここに居るだろう?」

陛下は軽い―挑発なさるつもりだったのだろう。
だが、それが王の逆鱗に触れたのは、火を見るより明らかだった。

途端、それまでどこか余裕のあった王は、牙のように突き出た犬歯を剥き出しにして吼えるように叫んだ。

「レベッカ? 
彼女のそばによるな!
わかったか!?
もし少しでも近づいたら、お前を殺す!!
おろか者っ!
近付くなと言っておいたであろう!」


そこまで叫ぶと、己の弱点を露呈してしまったのに気付いたのか、体裁を取り繕い、先程までの王者然とした雰囲気に戻った。
もっとも、殺気は今の方が強くなったような気がするが。

「君たちはまだ子供だ…
君は生き物の限界、君たちの限られた世界を
はるかにこえた物事にかかわろうとしているのだよ。
来たまえ!
君たちが立ち向かっているものが
何なのか、ためしに”味合わせて”あげよう!」



「うぐッ」

突然、陛下はその場に突っ伏してしまわれた。

「陛下ッ!お気を確かに…」

駆け寄った私は瞬時に、身をかわしたのは騎士としての直感からだった。
咄嗟に避けなければ、陛下の細身剣が私の腹部に深々と刺さっていたのだろう。

「…」

陛下の湖水の様に冴え冴えとした瞳は、凶暴な光が宿っている。
明らかに、私を「敵」と見なしている。
あの王が陛下に何かをしたのかは言うまでもない。
強力な催眠術を、陛下は受けられてしまったのだ。

「おのれッ!!“災いの王”ッ」

催眠術を解くには、施術している者を倒すだけでも効果がある。
一気に間合いを詰め、上段に構えた剣を振り下ろす。
人間だけでなく、今までの魔物たちとの戦いでも、この私の剣技を避ける事は出来なかった。
もっとも、今相手にしているものは、今までの魔物とは遙かに格の違う相手ではあるが…

「ハッハッハ…効くと思ったのかね」

何をどうされたのか、私の剣は虚空を斬っていた。
何故だ。
確実に、剣の切っ先は王を捕らえていた。
はずだった。
それなのに、手と視界が突然狂っていたのだ。




気付くと、王の姿は無かった。
そして、陛下はいつの間にか、気絶なさっていた。


「陛下!!陛下!!」

やっと目覚められた陛下は、正気を取り戻されていた。
何が起こったのかはまったく記憶に残っていないともおっしゃられた。

「ただ、ヤツの瞳が赤く光った途端、余の意識が飛んだのだ。…確かに、我らは、この世の範疇外にかかわろうとしているのであろうな」

ここで弱気にならないのが、陛下―そして、私だ。


部屋には「女王の鍵」と銘打ってある鍵を見つけた。


…女王…

あの、SMグッズを持っていた女か…


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