水の翼で探索していると、この辺りはいくつかの群島がある事に気付かされた。
ミノ・デーモンのいた「亡者の島」の近くに、
以前カロンが言っていた「死者の島」。
さらには、「忘れものの島」や、何者かがうち捨てた物品だけが積み上がっている島などがあった。
自分たちはそうした、宝箱から何か役にたつものはないかと捜し始めた。
そんな中、フランソワがかなり昔にすてられた何かの用具を見つけた。
何か、とはいうまでも無く「釣り」の道具だった。
釣り針と釣り糸、そして何故かコルクの栓がその箱には入っていた。
若干汚れているが、何かに使えそうだと思った。
そして「忘れものの島―捜索と発見」
島の岸辺は砂におおわれ、海水が打ち寄せていた…
と、いきなり目の前を棍棒が掠めていった。
「危ない!!」
一瞬反応が遅れたら、頭が吹っ飛ばされていた事だろう。
その島には、いつから住んでいたのか、この島を縄張りにする巨人たちが自分たちに襲いかかってきたのだ。
それも、大量の、巨大な「蚊」も引き連れて―
あの大群に襲われたら、ひとたまりもない―
刺されたら「かゆい」どころではない。
全身の血が吸い取られてしまいそうだ。
だが、自分たちも十分レベルが上がっている。
言うまでもなく、あっさりと勝負は付いた。
兄上とフランソワ、二人で巨人の首を一太刀で切り落とし、後の蚊どもも自分の「ニュークリア・ブラスト―核撃―」にて一掃した。
「ふう…やばかったな」
「ええ…完全に気付かなかったら、私たち全員がアウトでしたね」
砂を掘り返してゆくと古い金属のかぎが出てきた。
さらに近くの壁には
「海にて行方不明
D・J・ロッカー
赤いX 東3北1」
という走り書きがなされていた。
メモの意味は始め分からなかったが、川の東側の断崖に着いて理解した。
断崖の壁には、大きな赤い"X"が
何か特別な印のように岩の表面に記されていた…
「つまり、東に三歩、北に一歩進んだ所にあるんだな、宝が」
兄上の張り切りようは、あのゾーフィタスが閉じこめられているダイヤモンドの壁を見つけた時以来だ。
早速釣り針に糸を付け、水中に垂らしてみた。
何かに引っかかった!
かなり重そうだ!
「ぬぐぐ…」
兄上一人では大変そうだということで、自分とフランソワも一緒になって引き揚げた。
どうにかこうにか水中から引き上げた
その重いロッカーは、さびだらけになっていた。
中には、壊れた指輪と杖、そして鍵だけだった。
…それでも、壊れた指輪はそれなりに価値がありそうだったのでいずれ誰かに売り飛ばそう、と兄上はまだ機嫌が良かった。
その鍵は、近くの水門の鍵のようだった。
門をくぐり抜けてみると、
そこは城の東、奇妙な沼が広がる地だった。
その湿原の木々の間には小道がはりめぐらされ、歩き回ることができるようになっていた。
しばらく暗いじめじめした場所にい続けたため、全員が開放感を感じていた。
日にちにしてみれば、城に入って10日目だ。
早く脱出したいとは思っているが…
しかし湿原のためか、少し霧がかかっていた。
その霧の向こうはるか彼方に、かすかに城のシルエットを見分けることが出来た。
…どうやら脱出する方向と反対側か、あるいは少しずれてしまったのだろう。
地理観のあまりない土地なので、ここから自国へ戻ろうとしたら危険だということで結局、視界の効く所だけ探索する事にした。
湿った地面にはわずかに小さな足あとがついていた。
それははね回る小さな生き物の
足あとのようで、近くの藪の中へ続いていた…
藪の中を見たが、何にも無かった。
一体あれはなんだったのだろう…
PR