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わたしは自分がなにを感じ―なにを考え-ているかを書いてみたいと思う(キケロ)
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カロンが受け取り拒否した骨の壷を置きに、俺たちは死者の島にたどり着いた。

中は陰気そのものだ。
大量の死体に囲まれてると思うと、本当にぞっとしないな…。

八角堂の地下一階にあるその祭壇に骨の壷を置こうとしたとき、フランソワに止められた。

「まずは、これを備えておくべきだろう?」

それは、いも虫から買った線香だ。
あいつらしい、どうでもいい心遣いではあるのだが、線香を焚いてから壷を置いた途端、空気が変わった。

どこか安らかな、絶望の中で一条の希望を一瞬だけ垣間見たような心境というものによく似ている。


その祭壇の近くから長い回廊―『死者の殿堂』へと続く、に俺達は侵入した。

最奥の扉は鍵が掛かっている。

「恐らく近くに鍵が落ちているはずだ」

テレジアに言わせると、こういう場合、必ず近くに鍵が落ちているというのだ。
聞いてみたら「勘だ」と言われた。
どーして、女ってヤツは勘だの直感だので物事を測るんだ。理知的なテレジアでさえこうだ。

しかし、その勘は当たっていた。


近くの玄室―否、墓場に入った途端―


「ほう、わたしをみつけたというのかね?
お前のために我らはやって来たのだよ!」


不気味な声と同時に、墓場のスケルトンが襲いかかってきた。


完全に俺達は虚を突かれた。
静かすぎる程静かだったのに、いつの間にか、背後を大量のスケルトン兵士に囲まれ、一斉に襲いかかってきたのだ。
どこにいたのか、後で見たら壁の中から現れたようだ。
不気味なその声の主に気を取られたせいだったのか、身近な変化に気づけなかったのは、不覚としか言い様がない。

生者への憎しみや妬みをたぎらせながら、狂ったように骸骨たちは剣を振りかぶって襲いかかってくる。
完全な乱戦状態になってしまったので、テレジアやフランソワが無事かどうか分からなかった。
否、あいつらを気にしていられる状態では無かったのだ。

必死に骸骨たちを粉砕した時、全員無事だったのを安堵した時、その狂った骸骨の手に鍵があるのを見つけた。

鍵には骸骨の意匠が凝らされている。

「これだな、鍵は―」

何事もなく、テレジアはその鍵を(一旦骨に手を合わせてから)抜き取った。

「あの奥に、秘密があるだろう…」


カロンの言葉を思い出す。


この城の(かつての)主がこの島に生きながらえている事―
王妃の亡霊があの島で無念の叫びを続けている事―
例の、愛人であるレベッカが王と共にある事―


いよいよ俺たちは確信に近付いている。


鍵を開け、殿堂内へと足を踏み入れた。


その地下の墓地を埋めつくしているのが
冷たく青白い骸骨の山なのか、
それとも何か別の、身の毛がよだつような
恐怖なのかはわかならなかった。

しかし、ひとつだけ
確かなことがあった…

今いるところは、壮大な危険の程近くで、
それ以上に、何か邪悪な、何らかの
解答に近づいているという、
まちがいようのない感覚がしたのだ。

何かすべての中心となるものに…

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